東大生の歯医者さんが教える 歯と脳の最新科学 レビューその1

東京大学の学生診療所、その後保険センターで口腔外科医として30年以上にわたり東大生の歯を診断してきた堀 純一先生が書かれた本で、本の帯に東大生の歯は美しいと書かれていて、興味をひかれ買ったものです。

 

東大生の歯は美しい?

 

東大生の歯に何か特徴はありますか?という質問に

東大生だからといって、生まれつき歯に違いがあるわけではありません。虫歯の数も、歯並びも、歯の丈夫さも、他の大学の学生と変わりませんよ

と堀先生は答えています。

 

では生まれ育った環境から影響を受けることはないのでしょうか?

 

世界には、虫歯の極端に少ない民族が存在することが知られています。

例えば、モンゴルの遊牧民の子どもたちは、虫歯の数が極端に少ないのですが、

彼らには歯磨きの習慣がないのです。

これは東京医科歯科大学が行ったフィールドワークによって明らかになったことです。

 

なぜ彼らは歯磨きをしないのに虫歯が少ないのでしょうか?

その理由は食生活にありました。

 

遊牧民の食べ物は乳製品と肉が中心です。

肉はカラカラに乾燥させて保存食にします。

乾燥した肉は、ビーフジャーキーやスルメのようにカチンコチンに硬くなり、

なかなか噛み切れないので、いつまでももぐもぐと、咬み続けることになります。

これが口の中をきれいにし、顎を鍛えるのです。

 

遊牧民は子どもの頃からこうした歯ごたえたっぷりのものを良く噛んで食べ、

しかも甘いものをほとんど口にしないため、虫歯になりにくいのです。

 

ところが、この調査から年月がたち、モンゴルにも文明の波が押し寄せました

甘くてやわらかいお菓子がふんだんに食べられるようになると、

とたんに遊牧民の子どもの虫歯も先進国並みに増えてしまったということです。

このことからも、食生活の重要さがおわかりいただけるかと思います。

 

さて東大生であることと、虫歯の多さは関係ないといいましたが、実は話はここでは終わりません。

東大生は、その後の人生で、歯を長持ちさせる割合が高いようです。

 

 

日本では幼児のころは母子健康法、

義務教育の間は学校保健法、

老人になれば高齢者医療確保法という法律が日本人の歯を守るために定められています。

しかし、社会人の歯を守ることを目的とした法律はありません。

そして、ちょうどその世代にさしかかる20歳前後になると、

歯を支える歯ぐきや歯根膜や歯槽骨といった組織が侵される歯周病という病気にかかりやすくなるのです。

 

歯周病は、虫歯とともに、日本人が歯を失う原因となる二大疾患となっています。

歯周病を防ぐために最も大切なのは、行き届いた歯の手入れです。

それもただ闇雲に、自己流で磨けばいいというものではありません。

歯磨きにはテクニックがいります。

歯科医師や衛生士にしっかりと指導を受けて、

その指導に沿った正しい方法で、決められたタイミングで毎日欠かさず繰り返す必要があります。

 

先生のいうことをきちんと守って、正しい方法を習得し、それを習慣化して、毎日欠かさず反復する・・・・・。

そうです。まるで受験勉強ですね。

 

単純な作業に意味を見出し、律義に、真面目に、毎日コツコツと積み重ねることが老後の健康な歯をつくる。

そう考えると、「東大生の歯は美しい」というのもあながち、根拠のない話ではないと思いませんか?

 

日ごろの歯のお手入れが、歯の健康に、直結するという、

当り前ではありますが、毎日コツコツ続けていくことの難しさを、

東大生の受験勉強とかけて、説明されています。

 

実際に診療室で、歯の健康に対する意識として、僕が感じることは、

歯を失ったり、一度病気をするなどして、健康であることのありがたさを、

実感した方は、メインテナンスなど、積極的であるように思います。

健康であるうちから、多くの方に、健康に関する意識を高く持って

いつまでも丈夫な歯で、充実した人生を過ごしていただきたいと思います。

 

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